今回は、「イギリスの労働者階級の英語」について触れる予定でしたが、8月にイギリスのヒースロー空港で未遂に終わった航空機爆破テロ事件に関連して、ロンドンを中心としたテロとテロ未遂事件を取り上げたいと思います。
先月8月には、イギリスに長く住んでいる友達数名が一時帰国しており、昨年7月に起きた爆破事件とその後のロンドンの様子について話をきくことができました。昨年7月のテロでは、ロンドンの3箇所で地下鉄やバスが爆破されたことは皆さんのご記憶にあることでしょう。その3箇所のうちの1つ、ラッセル・スクエア(Russell Square)駅近くで、爆破があったという報道を聞いたときには本当に驚きました。ラッセル・スクエア駅は、ロンドン大学の最寄り駅で、私もロンドン在住時にはよく使っていたからです。事件直後ロンドン大学でお世話になった先生にメールを送ったところ、「ちょうど爆破時には大学内に居て、爆破音を聞いたが、工事か何かの音だろうとあまり気にしなかった」という返事をいただきました。午前9時半ごろの爆破だったと記憶していますが、もしもう少し早い時間だったら、通勤時に巻き込まれた人が多かったかもしれません。8月に一時帰国していたロンドン大学の先生によると、テロ当日は電車やバスなどの交通機関がすべて止まり、歩いて帰宅したり、帰宅できない人も多かったそうです。
日本では報道されていないと思いますが、今回のようなテロ未遂に近い事件は、私がロンドンに住んでいた2004年にも起こりました。スペインで地下鉄爆破事件が起こり、イギリスでもテロの警戒度が高まっていた頃、早朝6時にロンドンの7箇所で一斉に家宅捜査が行われたということがニュースになりました。テロ用の爆弾を作り保管していたという容疑で数人が逮捕されました。その頃私はロンドン北西部の治安の良い住宅地に住んでいましたが、隣町でその家宅捜査が行われたのです。本当にびっくりしましたが、実はこのような事件は日本で報道されていないだけで、イギリス国内ではテロを警戒してさまざまな動きがあるのだと思います。
一時帰国していた友人の一人が、「日本は本当に平和で良い。」と言っていました。イギリスで暮らしていると、常にテロには用心しなければなりません。私たちの日常生活が脅かされないよう、日本の平和がいつまでも続けばよいと願うばかりです。
小森由里